会社概要


1997年04月15日
株式会社企画屋

企画屋 企画力でインターネットのマーケティングに挑む

発行1997年04月----[東洋経済4月号 ベンチャークラブ]

 パソコンと企画力で一発勝負。こんなパソコン、インターネット・ビジネスの基本を地で行くベンチャー企業がある。横浜市北部のニュータウンに、自宅兼オフィスを構える、その名も株式会社企画屋だ。現在の主力事業は、インターネットのコンテンツ・プロバイダ。インターネットを使ったダイレクト・マーケティングにも挑戦する社員四人のベンチャーである。

超格安サービスを実現

 企画屋の手がけるプロバイダは、インターネットへの接続をする通常のプロバイダとは異なり、企業などに対して、ドメイン(インターネットにおけるサーバーの認識票、www.abcd.co.jpといった形で表現される)の取得やサーバーのレンタルを行うというもの。

  96年6月に米国のプロバイダ・ベンチャー、デジウェブ社と提携して事業に参入、一ドメイン当たり月額六九八〇円という破格の料金設定で話題を集めた。当時、プロバイダ大手のIIJが月額三〇万円程度、唯一の格安業者でも月額五万円は取っていたから、超格安の料金設定だ。

  メイン・サーバーの運用はコストの安いデジウェブに委託、東京から社員二人を使って指示を出している。ドメインの取得などの作業は、在宅の主婦パート二人にインターネット使って外注している。固定費の少ない小所帯だからこそ低価格が出せるのである。

  加えて、ホームページ作成やアクセスデータ分析など、大手ではなかなか手が回らない付加価値サービスの効果もあって、96年2月現在、約四〇〇件のユーザーを獲得している。激しい競争のなか、96年11月期は、売上高三二五〇万円、経常利益一四〇万円をあげ、経営は堅調だ。

企画でNASDAQ目指す

「大手の本格的な参入を考えれば、単純なドメイン取得やレンタル・サーバー事業は、もってあと半年でしょう」。

 代表取締役筆頭企画人の千葉春彦氏(三九)は、自ら開拓し先行してきた市場にも、すでに限界を感じている。そこで注目しているのが、インターネットを使ったダイレクト・マーケティングのビジネスだ。
 そもそも、企画屋は、ダイレクトメールや販促の企画を請け負う会社として、春彦氏が94年12月に設立した会社。社長は妻の千葉礼子氏(二七)だ。春彦 氏は設立前、企業の広告や販促部門で企画を担当、「企画のプロ」を自認する。そのノウハウを生かして独立した。企画屋という変わった社名も妻を社長にした のも、目立つための計算された「企画」なのである。
 マーケティングの仕組みはこうだ。インターネットを使って個人の属性や嗜好などをデータベース化し、これをもとに、電子メールやホームページを使って広 告、物販をする。企画屋自身がキャンペーンを打ってもいいし、企業の企画を請け負ってもいい。  

 現在、インターネット広告や物販、電子メールDMなどはすでにネット上に氾濫、効果が疑問視されている。これをデータベースをもとにセグメントされた層にぶつければ、大きな効果が出ると狙っている。
 まだ、この事業は本格化していないが、じつは、すでに仕掛けは始まっている。96年9は、すでに仕掛けは始まっている。96年9月、約一〇〇〇種のアド レスの中から好きな電子メール・アドレスを無料で配布、他のアドレスからも自動的に転送させるというサービスを開始した。社用と個人で複数のアドレスを持 つケースが増えているが、これらを新しいアドレスに転送し、いくつもメールをチェックするという手間を省いてくれるのだ。  
 無料にする代わりに、企画屋では、電子メールDMを必ず受信すること、月一、二回のアンケートに回答することを義務づけている。つまり、これが企画屋の 広告と顧客データベースになるというわけだ。現在、無料が受けて一万二〇〇〇人のリストができ、この数はすでに日本でトップクラスだという。「まだ、マー ケティングに使える数ではないが、数を充実させ、さまざまなマーケティング企画を練っていく」と語る。レンタル・サーバー事業が限界にくるであろう、半年 後までにデータベースを充実させることができるか。これがポイントになる。
 さらに春彦氏は、このシステムを米国に持ち込むことも狙っている。米国はインターネットの市場規模も大きく、より効果が見込めるからだ。すでにシリコンバレーのベンチャー支援者などともコンタクトをとり、事業展開について詰めているという。
 「いずれNASDAQに公開し、キャピタル・ゲインを狙いたい」と春彦氏の「企画」は大きく広がっている。

素人こそパソコンを使え

 ところで、春彦氏は、パソコンに初めて触ったのが二年前、いまでも「パソコンのことはほとんど分からない」という。その春彦氏が、プロバイダに乗り出すきっかけになったのが、二年前に買ったパソコンだった。そのパソコン自体は「めちゃくちゃな操作をしたので、一週間で壊した」が、投げ出すことにはならなかった。やがて「知らず知らずに、パソコン通信やインターネットに加入していた」といい、そこで知り合ったのが、デジウェブのアラン・チャン社長だったのだ。  プロバイダの内外価格差に注目した春彦氏と、事業を拡大したいチャン氏の思惑が一致、提携が進んだ。この間、「すべて、インターネット経由でプランが進んだ」という。   それだけではない。「パソコンやインターネットで分からないことがあっても、パソコン通信のフォーラムなどを活用すれば、いろいろな人がアドバイスしてくれる」。春彦氏はパソコン・ネットワークの威力を実感している。「パソコンの世界は、素人でも、企画勝負で事業ができる」のだ。




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